ケータイ小説あなどれん。

なんか話題になってるので携帯小説をいまさらながらいくつか読んでみた。読みづらいだのストーリーがありきたりだのさんざん言われているけれど、自分は意外とイケるクチだった。以下、おもむろに感想なぞ。

 

あたし彼女

アタシ
アキ
歳?
23
まぁ今年で24
彼氏?
まぁ
当たり前に
いる
てか
いない訳ないじゃん
みたいな

出だしのキャラクター設定自分語りがあまりに強烈なので、そこで読むのに脱落してしまう人がおおそうだが、すぐにキャラが変わりだして親しみやすい健気な女の子になる。主役2人ともにめっちゃ感情移入。超泣いた。もうガン泣き。ティッシュ3枚分。なんだかんだいって表現力ものすごい。ナレーションいっさいなしのすべて主観。感情描写が生々しすぎる。賞をとったってのも頷ける。
全部読むのはツラいがあらすじだけ知りたいという人はこちらにうまくまとまっているのでどうぞ。

 

あしたの虹

ヒカルが初めての彼ではなかった。
中2の時、それは終わっていた。
同じ演劇部の3年のトオル

御歳86歳の瀬戸内寂聴があえて書いてみた作品ということで読んでみた。料亭が舞台だったりとか水墨画が出てきたりとか、若い書き手にはなかなかかけない内容なのでは。大人が書いた筋書き、大人が書いた細かい描写、良くも悪くもそんな差を感じた。いや初めから瀬戸内寂聴が書いたって知ってて読んでるからそりゃそうなんだが。happyな話とunhappyな話が予想通りに交互に出てきて、次のストーリー展開がだいたい読めてしまって、読み比べした中で一番フィクションっぽさがあった。

このインタビュー記事をみると、携帯小説っぽくなるようにだいぶ校正に力を入れてたっぽいね。こういうのはやはりあまり練らずに直感で書き綴ったほうが生々しくなるんだろうなあ。これはこれならではの才能が必要なんだと思いますが。

 

恋空

切なくて苦しくて
でも心温まる物語。
【君は幸せでしたか?】

【とても幸せでした】

だいぶ前に話題になったやつだが、そういえば小説も映画も全然見ていなかったのでいまさらながら読んだ。
描写がとても細かい。日常の風景がまじまじと。自分も学生時代に友達たちとあそんでたときのことをいろいろ回想してしまう。ストーリー自体はかなり破天荒でうーんなんとも・・・あまり共感はしないかな。とくに結末。読み終えて一番に思うのは、この主人公、このあとの人生をどうやって生きていくんだろう、というホントに余計な心配。これまでの人生は悔いのない生き方をしてるけれど、このあとの生活を想像するとどうしても経済的に苦しい母子家庭生活を送る絵しか浮かんでこない。セカチューみたいに遺灰を撒いて新しいパートナーと、みたいなエピローグだったりするともうちょっと前向きな読後感になるんだろうになー。
とかなんだかんだ言いつつも要所要所でやはり涙しました。最近涙腺が弱いです。



3つまとめて

ページ数が多くて読みづらい、とか、口語体が読みづらい、ってのは、最初は確かに感じたけど読み進めてるうちにすぐに慣れて全然違和感なくなった。ストーリーは過激なものが多いけれど、NANAみたいなもんだと思えばとくに嫌悪感もないですかな。そんわわけで、自分はけっこうイケるクチだった、という話でした。