本読んだ。「ウェブ進化論」

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ブログかいてる人たちの間で話題沸騰の本を、ようやく読み終えました。
すでに多くの方々がすぐれた書評を書かれているので、いまさら自分がどうのこうの言うようなことはないんですが、著者の梅田望夫さん自身が「ブログは知的生産の道具だ」と主張されているので、じぶんの感じたことを記録しておこうかと。

 

p79-80

私たちが慣れ親しんできた「組織の仕事」では、組織内の情報は隠蔽されているのが基本だ。別の部署で何が起きているのかはわからない。トップが毎日何を議論しているかを知ることはできない。「この人間にこの情報は開示しても構わない」と誰かが判断した情報だけが開示される環境下で、個々人が仕事をしていく。だから、貴重な情報を握ってコントロールすることが組織を生き抜く原則となる。よって部門内や部門間で、情報共有を目的とする会議が増えていく。
しかしモチベーションの高いメンバーだけで構成される小さな組織で、すべての情報が共有化されると、ものすごいスピードで物事が進み、それが大きなパワーを生む。

これは社会人になって会社に入ってすぐに自分も強く感じたこと。学生時代にアルバイトしていた先には、共有の情報伝達ノートがあって、必要な情報はすべてお互いに共有されてました。誰が誰にどんな指示をした、ってこともお互いが把握していたので、いろんなことがテンポ良く進んでました。一方いまの会社は、このへんの情報共有がとても非効率に感じる。ウチだけじゃないんですかねぇこういうのって。

 

p127-128

その翌日私は、あるメーカーで米国最新動向についてトップに向けて話した。「はてなマップ」を見せたりもしながら、グーグルの話などもした。さすが莫大なシステム開発費を投じている巨大企業のことである。質問は「はてなマップ」の開発コストはいくらだったのか」であった。あえて隠し事をする必要もないので、わたしは正直に答えた。「エンジニアが一人はりついて実質五日でできたものですから、トータル五人日というところですね。人月のコスト計算は特にしていませんが、開発費はせいぜい数十万円というところでしょうか」
質問したトップは「冗談だろう。数億円、いやもっとかかるに決まっているじゃないか」と重ねて問いかけた。

なんかこう、本書でいわれている「オープンソース」とか「チープ革命」とかの本質の意味を端的に表してるなーと思います。

 

p165

「知的生産の道具」と聞けば大抵のものは試してみるということを続けて、かれこれもう30年近くなる。スクラップブック、京大型カードから始まって、ハイパーカードを使うためにアップルのマッキントッシュを買ったり、アウトラインプロセッサを試したり、ブラウザの出始めの時はその上手な活用法を考えたり……。新聞や雑誌から切り抜いた資料のスクラップには、大量のクリアファイルを使った時期もあった。日ごろ使うノートや手帳やメモ用紙やポストイットなども、それぞれ何十種類も試した結果、自分の好みを定め、現在に至っている。
そんな試行錯誤の末、最近は、ブログこそが自分にとっての究極の「知的生産の道具」かもしれないと感じ始めている。

これは自分も実感していること。以前、参加したアカデメディアlife hacksの回百式管理人田口さんもおっしゃってましたが、「一箇所にまとめて記録しておく」「下手に分類せずに時系列で記録しておいて、読み返すときは検索機能を利用する」というのにブログはとてもマッチしやすい。実際、自分ブログの「検索」機能をかなりよく使ってます。

 

そのほかにも、「オープンソース現象」の解説もおもしろかったです。狭義のオープンソースソフトの話だけでなくて、ウィキペディアの実験だとか、ブッククロッシングの話とか、こーいう人間の行動学的な話に自分もキョウミあるので、梅田さんの主張する「オープンソース現象」自体がとてもおもしろく感じました。

 

これらに限らず、webのなかだけではなくいろんな場面でもいえるような含蓄のある話が、とてもわかりやすく述べられています。webに興味ある人はもちろん、そうでない人にオススメな1冊です。